紀元前5世紀前後に出現し、神医と伝承される扁鵲は脈診の大家ともされ、「医師で脈診を論ずる者は、すべて扁鵲の流れを汲む」とされている。実際には透視ができたので、扁鵲自身は脈を触れずに、脈状まで知ることができたはずである。そして塀の外から屋敷内の病者の体内を透視した。諸国を巡り遍歴治療をした。

今、鍼灸臨床、手技臨床に欠如しているのはまさに人体透視による、扁鵲治療である。現代西洋医学が次々画像診断法を開発してきた。それに対し鍼灸臨床は体内透視的診断が皆無であり、すべて西洋医学での診断任せで、何ら自前の診断法を持たない。

椎間板ヘルニアにしても、脳血管障害にしても然り、西洋医学の画像診断以上の障害を検出出来ない。実際には、仙骨椎間板の4か所のヘルニアも起きるのである。多くの障害が画像診断では診断出来ないにもかかわらず、鍼灸師は画像診断を鵜呑みにする。

医師は画像診断で病者に対して一定の理解ができる。鍼灸師は自前の身体の診断法を持とうとしない。この鍼灸医療で多種ある障害のうち何が治せると言うのか?我々、新鍼灸法(半身症候鍼灸法)セミナーでは、画像診断で発見できない内臓、骨格系の障害を透視する指導をしている。

研究科では全員が頚椎、胸椎、腰椎を通した脊柱管の透視をしている。それにより全脊椎のヘルニア部位を判定している。勿論脳の歪みの左右差。膨張、収縮障害など全員透視診断ができる。

月例セミナーでも腎臓等の内臓の炎症、変位状態を透視する。そして参加者の9割が腰椎、胸椎の椎間板ヘルニア部位を診断し、完璧な治療をしている。鍼灸師は治療の原点に立ち帰るべきである。

西洋医の立場から、病者診るのである。まず、病者に対し痛み等の種々症状に対し、画像診断か、血液検査か、なんの診断が必要か判断する。鍼灸治療は根本的欠陥がある。血液検査もない、そして何より、解剖学的診断はすべて西洋医学任せで、解剖学的内臓、脳、骨格の診断を無用としているのである。

このような根本的欠陥があるうえ西洋医学は対症療法であり、東洋医学鍼灸は全体治療だと誇示する。驕りでしかない。九鍼で鍼具を使い分けると言う。

人体は畳ではない。太い長鍼を深々と差し込む必要がない。0番鍼の切皮で全身深部組織、脳は反応し、回復するのである。病者に対面したとき、なぜ鍼灸師は、内臓、骨格系、頭蓋骨と脳、これらを知ろうとしないのか?これでは真の臨床の場が存在しない。

鍼灸界の研修、学会発表でも口演、講演で、現実的臨床がない。つまり、互いに臨床の披露がないから、みな安心して講演、口演ができる。臨床の現実がない研修会で、これまで日本鍼灸はどれだけの進歩、発展がなされたのだろう。

「日本鍼灸は世界に注目されている」「評価されている」という。本当ですか?思わず考えてしまう。隣国、中国の中医師が評価しているのですか?古典鍼灸理論が確立されて二千数百年が経過した。

この辺で扁鵲の基本に返った鍼灸臨床を復活しませんか?鍼灸師の皆さん!自己満足鍼灸から、自己の感覚、自己の知識で病者を診断する鍼灸臨床をしませんか?診断出来なければ治せないのです。

眼前の患者を、身体を診断しましょう!脈を診たり、触診したりより体を診ましょう!そして体を理解しましょう!体、心を視て治る治療をする。これを透視診断が基本となる扁鵲治療と言う。

新鍼灸法(半身症候鍼灸法)、律動法創始者・茂木 昭が指導します。

1.扁鵲治療(透視治療)とはなにか?
2.もう時代の要求は治る治療で、治らない鍼灸とは決別しなくてはならない。
3.治る鍼灸とは、古典鍼灸以来存在していない正常・異常の確実な判定法を所有する鍼灸理論である。
4.治る治療はエビデンス鍼灸ではない。エビデンスでは治らない。

1.扁鵲治療の夢!

東日本大震災で露呈した日本鍼灸の実力。

古代の神医とされる扁鵲は諸国を遍歴治療した。小児疾患が多い国では小児科治療を、婦人科疾患の多い国では婦人科治療を行ったと言う。扁鵲が平成の日本に生存していたなら、東北地方で大活躍したのだろう。あるいは名もなく、活躍の場がなかったかもしれない。

全国の日本鍼灸師の皆さん、このような災害時にこそ、鍼灸効果があるのなら鍼灸師が大活躍しなかったら嘘である。鍼灸という治療形態こそ災害時に最大に活躍できるはずである。

つまり、中医学はともかく、少なくても日本鍼灸は治らないという証明となった。全国の鍼灸師も信頼されることの適性がなかった。そして統括する指導員自身にも被災者に全幅の信頼を抱かせる臨床的実力が無かったはずである。

被災者からも日頃からの鍼灸の評価から鍼灸を求める声が少なかったのである。この東日本大震災での鍼灸の救援活動の苦い思いをこのまま忘れてはならない。また大震災が起こる可能性があるのだから、普段から多くの大衆を救う臨床力を体得していなくてはならないと思うのである。

扁鵲が古代に遍歴治療をしたように、施設のいらない医療として最適な鍼灸が活躍出来るようでなくてはならない。

2.扁鵲治療(透視治療)とは?

臓象学説のような、空論でなく、臨床家はまず患者を見る。人体を見る。現代西洋医学は画像診断を次々に開発、向上させてきた。人体を見ることをすべて西洋医学に代診してもらい、自分は橈骨動脈を触る、舌を見る。古典理論を当てはめる。全身の自身が見えない経絡を説明しても結果が出ない。何しろ正常・異常の判定法がないのであるから、良くなることの状態も分からない。すべての治療行為も正当化される。

正しい治療をしましょう!正常・異常の判定法を知り、画像診断法が在れど治らない現代西洋医学を超えなくてはならないのが大衆の求めなのだから、画像診断法に匹敵する体内透視法を身に付けなくてはならない。

肺、心臓、腎臓、肝臓、腸、脳、そして患者の自覚症状、疼痛、しびれ、麻痺を透視する。全疾患とのかかわりの多い頭蓋腔、脊髄が障害される脊柱管内の透視は高度治療のいては欠かせないのである。これらの透視法をセミナーで指導している。また扁鵲的治療法を徹底して伝授してほしいなら、研修センターがある。

3.時代の要求は治る治療。治らない鍼灸とは決別

鍼灸師は本当に治す治療が嫌いなのである。兎にも角にも、皆が良いと決めていることに便乗する。迎合体質の極致が鍼灸師である。古典鍼灸、中医学鍼灸なんでも結構だが、その前に治る治療をしたいという強烈な意志をなぜ持とうとしないのだろう。古典理論のような結果の出ない理論かどうか、なぜ予測ができないのだろう。経絡治療家のトップの治療を受ければ、すぐ判断が着く。中医学に執心するより、留学するより、老中医師の治療を見聞すれば直ちに判断が着くのである。

治らない鍼灸に執着するようでは患者の信頼は得られない。

4.治る治療はエビデンス鍼灸ではない。エビデンスでは治らない

学者の研究する鍼灸のエビデンスは、それで役割は果たしている。しかし、鍼灸臨床家はなぜ追随するのだろう。鍼灸界には真の臨床家はいないのだろうか?現に学究家の臨床が治っているのですか?

本当の臨床家が研究家になるのなら理解できる。臨床家でない研究家のエビデンスに共感する臨床家では情けない。

ある研究家は、鍼灸臨床の理想として、少数穴、呼気時、座位での臨床パターンを挙げている。二重盲検法としてシャム鍼よりも全く接触感のないレザーを使用した実験を挙げている。それによる指床間距離テストを採用してその距離が短縮したから有効だとしている。これについて2点の大問題がある。一つはレザーを当てた。レザーには体に有効であるという思い込みがある。レザーは触覚が起きないけれど目に当てると重大な問題が起きるように、皮膚に当てても人体には有害となる。内臓機能が低下する。なぜ治療に使用するかというと、有害だから、知覚鈍麻するのである。つまり確かに鎮痛作用があるが、生理機能からは有害なのである。そして指床間距離テストにしても生理機能に有害な光線を当てれば筋、人体は弛緩するのである。結果曲がるのである。

それと呼気時だという。呼気時が正常になるのか、異常になるのか確かに生体にはあるのだが同一人でも時と時間で逆になるものである。つまり、肺気管支が拡張障害のときと収縮障害のときで、同一人でも一定ではない。しかもすべての患者に呼気時であるとする、この研究者の臨床レベルを知ることができる。

今の研究者の臨床レベル、人体知識では鍼灸のエビデンスなど限界がある。西洋医学でもリンパドレナージュで弾性ストッキングを使用する。これでは下肢動脈・静脈の極度な血行障害を増強させているのである。外した時すぐ脳循環も良くなり、視覚、聴覚が一瞬にして回復する。鍼灸臨床家はもっと自信のある臨床をするべきである。

鍼灸が治らない西洋医学から科学的に有効性を認定されても、国民大衆には何の益するものはない。

日本鍼灸師は、大きな夢を持って、国内にもない、中国にもない、欧米にもない、古代の神医とされた扁鵲が活躍した扁鵲的透視治療家を目指しましょう!